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数学検定や英語検定は高校受験に有利になるのか
高校受験で有利になるために、数学検定や英語検定の受験を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 制度変更が繰り返される大学受験の世界では、2024年度(2025年1月)から本格的に英語の外部試験(英語検定など)が導入され、今後は数学の分野でも外部検定を活用するケースの増加が見込まれています。 そのような検定の受験活用の動きは、今後ますます高校受験においても同様に進んでいくことが見込まれています。 今回の記事では、数学検定や英語検定は高校受験において有利になるのか、についてわかりやすく解説したいと思います。
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数学検定・英語検定とは
数学検定・英語検定の概要
・数学検定
正式名称は「実用数学技能検定」です。
文部科学省が後援し、公益財団法人日本数学検定協会が実施している、数学・算数の実用的な技能(計算・作図・表現・測定・整理・統計・証明)を測る記述式の検定です。
数学領域である1級(大学程度)から5級(中学一年程度)までが「数学検定」、算数領域である6級から11級、かず・かたち検定までが「算数検定」と呼ばれています。
個人受験の場合は年3回、団体受験の場合は年17回ほど実施されています。
出典:https://www.su-gaku.net/suken/
・英語検定
正式名称は「実用英語技能検定」です。
文部科学省が後援し、公益財団法人 日本英語検定協会が実施している英語の検定です。
年間の総志願者数が250万人を超え、小学生から社会人まで幅広い層が受験しています。
1級、準1級、2級、準2級、3級(中学生で習う範囲)、4級、5級の7つの級があり、そのうち1~3級は4技能(リーディング・ライティング・リスニング・スピーキング)を、4~5級は、リーディング・リスニングの2技能のみを測定します。
外国語運用能力の国際評価基準であるCEFRに対応した英検CSEスコアによって、自分のレベルをグローバルな基準で把握できるので、英語外部検定利用入試に利用しやすくなっています。
受験の優遇制度と実施校
数学検定は全国の高等専門学校・高等学校・中学校1,090校以上の入学試験において、優遇制度として利用されています。
利用学校一覧:https://www.su-gaku.net/suken/wp-content/themes/su-ken/pdf/feature/admissionsincentiveshighschool_2022.pdf
高校入試における生徒の評価基準として、入試時の点数に加算したり、調査票などと同じように参考要素とするなど、利用方法はさまざまです。
出典:https://www.su-gaku.net/suken/feature/admissions_incentives/
英語検定は上位の級を取得していると数学検定と同じように、入試に加算したり、推薦試験を受ける権利が与えられたり、内申点に加点されたりといった参考要素にするなど、学校によって異なります。
ある学校では、3級以上は内申点に加算されたり、中学レベルを越える準2級や2級以上には筆記試験の得点に加算したりといった方法を取っています。
出典:https://www.eiken.or.jp/eiken/merit/
何故検定を受けると受験に有利になるのか
多くの学校で優遇制度が取られているようですが、もちろんすべての高校で活用されているわけではありません。
従って、志望校が決まらない段階では具体的に有利になるかどうかは確定しないため、早期の受験について躊躇している方もいらっしゃると思います。
しかし、早期で検定を受けることで直接的なメリットだけではなく、間接的なメリットを得ることが出来ます。
ここではその理由についてわかりやすく解説していきましょう。
日々の勉強のマイルストーンになり得る
「受験勉強は早期から計画的に進めたほうが良い」ということは誰もがわかっているものの、長い期間にわたってモチベーションを維持し続けていくことはとても難しいです。
そこで検定試験へのチャレンジを、受験までの途中に置くマイルストーン(中間目標)として活用することをお勧めします。
検定は試験日が決まっていますので、いつどの検定を受験すれば目的を達成することができるのか、といったスケジュール管理がやりやすくなります。
例えば、英語の勉強を中学3年生の夏までに終わらせるというマイルストーンをたてるのであれば、中学で学ぶ範囲を前提とした英検3級を中学3年生になる春までに取得しよう、ということになります。
であれば、4級は中学2年生になる春までに、5級は中学1年生の間に受験しよう、というようにマイルストーンを設定していくわけです。
一発勝負の受験とは違い、何度も受けられる
入試は複数の学校を受験できるとはいえ、それぞれが一発勝負であり、失敗は許されません。
しかし検定試験は、失敗しても次があります。
この違いはとても大きく、利用しない手はありません。
もちろん高校受験に失敗したとしても人生は続くわけですし、挽回のチャンスはいくらでもあるわけですが、良い意味で受験慣れすることは精神衛生上、大切なことです。
失敗したら、次に活かしてリベンジすればよいし、必ずチャンスはやってくる、という体験を積み重ねていきましょう。
本番前に試験そのものに慣れることができる
慣れていない試験会場で緊張してしまい、普段の力が発揮できなかったという話は受験の体験談において良く聞くと思いますが、これは受験に限ったことではありません。
スポーツや囲碁将棋など勝負の世界においても「慣れ」は勝敗を分ける大切なポイントです。
緊張しないようにするひとつの方法として、「知らない・不慣れな場所に一人でいることへの不安感に慣れる」ことが考えられます。
また、自分では実力がついていると思っていても、実は家で解くときには参考書などを見ながら解いていたり、時間を気にせず解いていたから出来たのであって、本当の実力は身についていなかった、というケースも良く聞きます。
試験会場と同じ環境でも本当に問題を解く力が自分に身についているかどうか、しっかりと確認できることも受験の大きなメリットです。
スモールステップ法(合格体験の積み重ね)が自信につながる
将来の大きな目標に向かって努力する過程において、本番まで達成感を得ることが出来なければ、途中で気持ちが折れてしまうことも考えられます。
日々行われるミニテストでも当然良い点を取ればうれしいですし、自信にもつながるでしょう。
しかし、具体的な成果として手元には残らないので、日常生活の中に埋もれてしまいます。その点、検定試験には決して埋もれてしまわない効果が期待できます。
何故ならば、検定に合格するということは、努力の成果が合格証という目に見える形になって残り、それが自己肯定感につながります。
「自分はやればできるんだ」と感じ、自己肯定感が高まると受験に対して否定的な感情に支配されることが少なくなります。
小さな積み重ねが、やがて大きな成功へとつながるという感覚を持つことは、長い受験勉強において、正のスパイラスを回すためにとても重要なことなのです。
苦手な分野を把握できる
検定試験は、合格していても不合格でも、個人成績表を受け取ることができます。
領域・問題毎に対して、受験者全体の正答率がわかりますので、自分自身の勉強の進度や苦手領域など、現在の立ち位置を視覚的に把握することができます。
次のステップに進むためにやるべきことが明確に具体化するため、克服しようという気持ちが芽生えやすくなります。
大学受験にも目線をおいた勉強に取り組める
高校受験の勉強は、どうしても志望校に受かるためだけの一時的な勉強として感じてしまいがちですが、勉強とは本来そういったモノではありません。
多くの学生にとっては大学受験へとつながっていきますし、その先に就くであろう職業へとつながっていきます。
将来へ目を向けるためにも、中学で学ぶ範囲を越えた上級の等級がある検定試験にチャレンジするという行為はとても貴重です。
まとめ
IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)、ビックデータなどを活用した第四次産業革命が猛スピードで世界を変化させる中、数学と英語の重要性は益々高まっています。
数学力と英語力は継続して計画的に学びを進めていかなければならない科目です。
数学検定や英語検定へのチャレンジは、高校受験に直接有利になるだけでなく、未来へとつながっているわけです。
検定を高校受験に組み込むことで、学ぶことの目的が受験だけになってしまわないように、気持ちのコントロールが出来るようになります。
目線を未来へ向けて、長いスパンの学習計画に取り組んでいくことが、実は受験にも有利に働くことが期待できるでしょう。
検定試験はそれぞれ出題範囲がしっかりと設定されていますので、いたずらに先取り学習をする必要はありません。
高校の出願書類提出は12月中旬から1月末が多いですから、遅くても中学3年生の秋くらいまでには英検3級、数学検定も3級までは取っておきたいですね。
着実に取り組み、基礎がしっかりと身に着いたら、受験の予行練習もかねて、英語検定は3年生になった5月から一次試験が始まる回を、数学検定は7月の回を受験してみると良いでしょう。
もちろん上記スケジュールはあくまでも一例です。
お子様の学習状況に合わせて、ぜひ数学検定や英語検定を高校受験の計画に積極的に取り入れてみてください。
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